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歯周病治療
歯周病は、歯肉炎(炎症が歯茎に留まっている)と歯周炎(炎症が骨まで達している)の総称で、歯と歯茎の間に細菌が繁殖することによって起こる炎症性疾患です。歯周病は、初期の段階では自覚症状がほとんど無いため、気づかないうちに進行し、最悪の場合、歯が抜けてしまうこともある軽視できない病気です。
また近年、歯周病は口腔内だけの問題ではなく、心臓病や肺炎、糖尿病など多くの疾患の発症リスクを高めるほか、歯周病の妊婦は約5倍も早産リスクの高いことが明らかになっています。
歯周病は、日本人が歯を失う最大の原因であり、初期の段階では自覚症状がほとんど無いため、気づかない人が多いものです。
歯磨きが不十分なために、歯と歯肉の間に細菌が棲みついてプラークが溜まると、そこに炎症が生じます。これが歯周病の始まりです。初期には自覚症状はほとんどありませんが、次第に赤みや腫れ、出血、排膿、口臭など、様々な症状が起こり始めます。
プラークが石灰化して歯石になると、通常のブラッシングでは取り除けなくなり、歯周病は悪化します。歯と歯肉が付着しているすき間に「歯周ポケット」ができて、さらに炎症が歯肉の内部まで進行すると、歯周ポケットが深くなっていきます。やがて歯根膜(歯と歯槽骨を繋いでいる組織)や歯槽骨が破壊され、歯を支える力が次第に弱くなって、歯はグラついてきます。このままの状態を放置すると、最終的に歯は抜けてしまいます。
歯周病が進行すると、毛細血管を伝って歯周病菌の作り出す物質が全身に運ばれてしまい、心臓病や肺炎、糖尿病などの発症リスクを高めたり、病状に悪影響を及ぼしたりすると考えられています。
歯周病菌のなかには、女性ホルモンを利用して増殖する菌がいます。そのため、妊娠中は歯肉炎を引き起こしやすくなります(妊娠性歯肉炎)。
また、歯周病の妊婦は早産のリスクが高くなることが知られています。歯周病が悪化すると炎症を引き起こす物質が産生され、この物質の血中濃度が高くなると、胎盤を刺激します。すると、妊婦の体は出産準備が整ったものと勘違いして子宮の収縮や陣痛を起こします。最近の調査では、歯周病の妊婦は約5倍も早産リスクの高いことが明らかになっています。
妊娠中は歯周病を防ぐために、いつも以上にお口の中の清潔を心がけましょう。自覚症状が無くても歯科医院を訪れ、歯周病の検査を受けたり、適切な清掃方法の指導を受けたりすることが、歯周病の発見や予防に役立ちます。もし歯周病があるとわかったならご体調を見ながら計画的に治療をしましょう。(治療は、妊娠4~8ヶ月の「安定期」をお勧めいたします)。
下記のような症状がありませんか?
当てはまるものがありましたら、お気軽にご相談ください。
歯周病の状態を客観的に把握するために必要なものです。歯周ポケットの深さや、歯肉からの出血、歯の揺れ、プラークの付着状況などを調べます。この検査結果をもとに歯周病の進行度を診断し、治療の計画を立てます。
レントゲンを撮ることも歯周病で減った骨の量を知るうえで有用です。
歯周病を防ぐうえでも、また治療するためにも、大切なのが歯磨きで歯についた細菌を減らすことです。
しかし歯を隅々まで磨くのは意外と難しいものです。その方に合った歯磨きの仕方をご説明します。歯磨きを面倒と感じることもあると思いますが、磨き方のコツを知っていただくことにより、同じ手間でもより効果的な歯磨きができます。
また、正しい歯磨き方法を知っていても毎日継続することは意外と大変です。
歯磨きの大切さなどお話させて頂くことで、モチベーションを高めるお手伝いをします。
スケーリングとは歯石を除去することで、スケーラー(歯石を除去するための専用器具)を使って、歯石を取り除きます。
歯石の中にはたくさんの細菌が棲んでおり、そのままにしておくと、細菌が歯周組織を破壊してしまいます。そのため歯周病の原因である歯に付着した歯石を取り除くことが、歯周病の予防と治療には大切なのです。
たくさん付いた歯石を取ると、急にむき出しになった歯がしみやすくなることがあります。
そのような場合は必要に応じて知覚過敏の処置を行います。
ルートプレーニングとは、歯周ポケットのより深部に入り込んだ歯石をスケーラーで取り除き、さらに歯根を滑らかな面に仕上げる治療です。
歯周ポケットが深いと、歯ブラシの届かないポケット内部に歯石が付着します。また、歯根の表面が汚れて荒れた状態になります。そうしたポケット深部の歯石や細菌を除去し、根面の汚染物質を取り除き歯根表面を滑らかにするのが、ルートプレーニングです。
歯根の表面が滑沢になることで、歯石の再付着を防ぐ働きもあります。
ルートプレーニングはポケットの奥深くまでスケーラーを挿入するため、必要に応じて局所麻酔をして行います。
フラップ手術とは、上記のルートプレーニングでは取り切れなかった、さらに深い部分の汚れや、歯垢、歯石を取り除く治療です。
基本的な目的や方法はルートプレーニングと同じですが、大きく違う点は、歯肉に「切開」を加えることです。
切開により、歯肉の深い部分を直接目で見ることが可能になり、届かなかったところにも器具が届くようになります。
なお、治療には麻酔を用いますので、痛みが出ることは、ほとんどありません(ただし患者様によっては、治療後に腫れが生じることがあります)。
歯周病の治療・予防で大切なことは、ご自宅でのケア(日々の正しい歯磨き)と、歯科医院での定期的なメンテナンスです。
たとえ一度、歯石をきれいに取り炎症が収まっても、毎日の汚れを落とさなければ、再び歯垢や歯石が付き炎症が起こります。
ご自宅でのケアがとても大切です。
同時に定期的に歯科医院にお越しいただきメンテナンスすることも大切です。メンテナンスの際には歯周病が進行していないかチェックしたり、ご自分ではどうしても取り切れない汚れ・新たに付いてしまった歯石を取り除きます。
歯周病の治療により歯周組織の炎症を抑えることができても、一度減ってしまった歯槽骨を戻すことはできません。そのため年齢が進むにつれて歯周病の症状を感じやすくなります。将来の健康的で豊かな食生活のためにも、継続して歯周病のケアをし続けることが大切です。